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【大気】 石綿含有 事前連絡怠る 堺市が「大防法」違反の疑い

 アスベスト(石綿)の社会問題化に伴い、平成26年に改正された大気汚染防止法。石綿関連工事をめぐっては従来、施工業者が責任の大半を担ってきたが、法改正で工事発注者の責任を明確化させた。だが、法改正後、初めて刑事責任追及のターゲットとなったのは、皮肉にも最も法令を順守すべき行政だった。解体工事に伴う石綿の飛散防止規制は以前からあったが、事前調査を十分しない施工業者や、飛散防止措置の必要性を認識していない工事発注者の存在が問題視されてきた。このため、国は法改正で、石綿関連工事の届け出義務を施工業者から発注者に変更した。改正法の対象は主に民間業者だが、今回違反が疑われるのは堺市だ。市は6月、煙突解体工事のがれきに石綿が含まれていることが判明し、工事を中止。周辺の土壌や大気の石綿含有量を調べた結果、国の基準値以下だったものの、近くには保育園や小学校、病院があり、周辺住民にも不安を与えた。問題の煙突は現在も解体途中の状態で放置されている。隣接する保育園の園長(56)は「発覚から半年たっても煙突が撤去されないのはおかしい。子供たちの健康被害が心配だ」と憤る。捜査関係者は「業者を指導・監督すべき行政が基本的な手続きを怠り、住民らを不安にさせるのは許されない」と指摘する。

 

出典:2016/12/8  産経新聞 大阪朝刊

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