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【その他】11年度は153件発生前年比で1・6倍増/コンプライアンス違反倒産/商工リサーチ(全国)

 大手の精密機械メーカーや製紙会社などの企業不祥事が相次ぎ、「コンプライアンス(法令遵守)」が重要視されている。直接、法的な違反でなくても、「倫理や社会貢献などに配慮した行動」に反した社会的に不適切な行為は国民や消費者、取引先から糾弾されるリスクが高い。最近は、売上増や短期的な利益を優先しコンプライアンス違反に走り、不祥事の発覚から対外信用を大きく失墜して経営破たんするケースが急増している。企業にとってコンプライアンスは、リスク管理という視点でも経営が重要課題とし認識されてきている。

 東京商工リサーチによると、11年度にコンプライアンス違反が一因となり倒産した企業は153件だった。前年度(95件)より58件増(61・0%増)と急増した。年度上半期(4月~9月)は前年同期比40・0%増(45↓63件)に対し、年度下半期(10月~3月)は同80・0%増(50↓90件)と、年度後半に急増が目立った。

 153件の負債総額は3331億100万円で、前年度比13・0%増だった。負債10億円以上の大型倒産は34件(前年度18件)。主な倒産事例は貸金業法に違反したSFコーポレーション(旧‥三和ファイナンス、神奈川・負債1897億円)、顧客からの預り資産を流用して金融庁から金融商品取引業の登録を取り消された丸大証券(東京都・同23億円)など。

 産業別では、サービス業他が46件(構成比30・0%)で最も多かった。次いで、建設業30件、製造業26件、卸売業15件、運輸業9件、小売業と金融・保険業および情報通信業が各7件、不動産業6件の順。最も多かったサービス業他では、ソフトウェア業が5件、老人福祉・介護事業が5件、病院・診療所が5件など。特に、福祉・介護業界で目立つ。これは先行投資に対し市場拡大が想定より遅れたことから経営不振に陥り、介護報酬の不正請求などに手を染めたケースが多い。より倫理観を求められる業界に安易に参入した警鐘とも言える。

 違反内容別では、脱税や税金滞納などの税金関連が38件(前年度12件)。不正な会計処理を行い虚偽の決算報告を作成するなどの「粉飾」が28件(同22件)。公共事業などの競争入札で事前に業者間で入札価格や落札者などを協定する独占禁止法違反の「談合」が8件(同3件)、詐欺・横領が11件(7件)などだった。

 最近は、企業の法令違反行為の発覚で取引を打ち切られたり、また、金融機関の融資継続の条件としてコンプライアンスが要求されるなど、理由はどうあれコンプライアンスが求められている。さらに、監査の厳格化や内部通報制度の充実など環境整備も不正発覚を促進している。
 こうしたなか11年度の「コンプライアンス違反」の倒産件数が前年度を上回った背景には、税金滞納や粉飾決算に象徴されるように経営内容の悪化を「ごまかす」企業の増加がある。景気の先行きが不透明ななか、「コンプライアンス違反」の倒産は実態経済の写し鏡にもなっている。新興国の経済発展や円高を背景に、これまで以上に経済のグルーバル化は進むとみられており、コンプライアンス違反の企業への罰則は有形無形に強まってくるだろう。

出典: 建設工業新聞

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