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【廃棄物】ダイオキシン廃棄物:高島市検査値改ざん 清掃後に再測定「慣行」 市長ら全面謝罪(滋賀)
高島市環境センターが7年にわたり、基準値を超えるダイオキシンを含む廃棄物を神戸市の処分場に搬出していた問題。福井正明市長らが11日記者会見し、全面的に非を認めて謝罪した。7年間も偽装を続けていた事態に、担当幹部は「判断が甘かった」と釈明したが、検査値の報告体制など、しどろもどろになる場面もあった。
会見で、同市環境部長は「ばいじん1グラム当たり3ナノグラムの基準を超えるダイオキシンが検出されると、焼却設備を清掃した。測定し直すと基準以下になり、こうしたことを繰り返してきた」と説明。同市環境センター所長は「現場で長年、慣行のようになっていた」としたうえで、「(基準を超えると)フェニックスセンターに運べなくなるとの思いしかなかった」と述べた。
福井市長は「数値を改ざんして報告し隠蔽(いんぺい)したと言われても仕方ない」と陳謝。専門家らの第三者委員会を設けて信頼回復を図る考えを示したうえで、「退職職員も含めて聴取して、違反を続けた要因などを調べ、処分などを検討する」と語った。
ばいじんを受け入れていた「大阪湾広域臨海環境整備センター」(大阪湾フェニックスセンター)は5月末から高島市からの廃棄物受け入れを禁止しているが、市はその前の4月26日に、フェニックスセンターへの搬出を自粛。環境センターには約100トンのばいじんや焼却灰がたまっており、民間業者に処理委託する準備を進めている。
一方、市はフェニックスセンターから、ばいじんが運ばれた神戸沖埋立処分場(神戸市東灘区)周辺の環境調査の費用を負担するよう求められていることを明らかにした。
◇県、不正見抜けず
問題を受けて、県循環社会推進課も11日に記者会見。高島市が県に対しても基準内の数値だけを報告していたことを明らかにした。
県によると、基準超過の数値を報告しなかった理由について、高島市は「(超過が)一過性だったため」と説明。これに対し県は市の回答に疑問を呈したうえで、廃棄物処理法などに違反すると指摘した。
また、高島市環境センターが、基準を超えた後の1カ月間に週1回しか手動清掃をしないなど、ずさんな管理だったことも明らかにした。
県は年1回以上、高島市環境センターの立ち入り検査を実施していたが、今回の不正を見抜けなかった。ばいじん測定は報告を受けるだけで、実際に検査では確認しなかったといい、「今後は検査時に原本を確かめる」としている。
出典:2014/06/12付 毎日新聞 地方版