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【大気・労働安全】印刷業の7割に法令違反 化学物質で集中監督 めだつ作業主任者未選任 埼玉労働局(埼玉)

 埼玉労働局(代田雅彦局長)は、印刷業を中心とした化学物質取扱事業場に対する監督指導結果を取りまとめた。特殊健康診断や作業環境測定の未実施がそれぞれ3割強を占めるなど、7割を超える事業場で何らかの法令違反が発覚している。
 とくに作業主任者の未選任が4社に1社の割合に上る状況を問題視した。危険有害情報の把握や適切な管理が行われていない可能性が高いとして、今年度も最重点対象に位置付け監督を強化する考えだ。
併せて印刷業の事業者団体に法令順守徹底を要請している。


 胆管がん事案をきっかけに化学物質による健康被害が問題となっている現状を踏まえたもので、印刷業、機械部品・金属製品などの製造業のうち化学物質を取り扱っている138事業場に立入調査を行った。平成24~25年度分の結果を集計している。全国の労働局に先駆けて発表した。

それによると、99事業場(71・7%)で何らかの労働基準関係法令違反がみつかった。特定の有機溶剤や特定化学物質を製造または取り扱う業務に従事する労働者に対し、6カ月以内ごとに1回の法定項目の健康診断を義務付けている特殊健康診断を実施していない事業場が34・1%と最も多かった。次いで、同業務を行う屋内作業場について6カ月以内ごとに1回の化学物質の濃度測定を義務付けている作業環境測定を実施していない事業場が32・6%とめだった。局所排気装置の未設置も18・1%と少なくない。

印刷業だけでみると、同違反割合は順に39・8%、35・9%、23・3%と上昇し、健康管理や作業管理面のずさんさが表面化している。とくに同労働局が懸念しているのは作業主任者の未選任。法定の有資格者の中から選任し、作業指揮などの職務を行わせなければならないが、これを順守していないケースが25・4%に上った。印刷業に限定すると、32・0%と3割を超えている。「危険性・有害性情報の把握はもとより、適切な管理方法が採られていない可能性が高い」(同労働局)とした。

今回の取りまとめを受け、同労働局は、印刷業の事業者団体に法令順守の徹底を求める要請を行うとともに、引き続き今年度も化学物質取扱事業場への監督指導を積極化する方針だ。立入調査と併せて安全衛生管理体制などの整備を促す自主点検を実施する。今国会に上程中の労働安全衛生法改正案では、化学物質管理のあり方の見直しが柱の一つとなっている。安全データシート(SDS)の交付が必要な640物質について、事業者に新たにリスクアセスメントを義務付けるとした。


出典:2014/06/02 労働新聞

■埼玉労働局 報道発表(2014/05/02)
平成24年度~平成25年度における化学物質使用事業場に対する監督指導結果~
138社に対して監督指導を実施し、そのうち72%で法令違反を是正指導~
 http://saitama-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/library/saitama-roudoukyoku/press/2014/pr20140502-05.pdf

■業界の動き(2013/08/21)
 『印刷業界における化学物質ばく露防止推進のための化学業界の改善のお願い』
 一般社団法人 日本印刷産業連合会
 http://www.jfpi.or.jp/news.html?topicsnewsid=18
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